私たちパーソナルスタイリストは、医者の方々から服装についてのご相談を受けることもよくあります。
ユニフォームはもちろんですが、学会などで使うスーツやジャケットスタイル、私服に至るまでです。
医者の方は自由な時間が取りづらく、なかなか洋服の買い物に行く時間が取れなかったり、
そもそもファッションに興味が無いという方も少なくなく、TPOに応じたコーディネートのご相談をよく受けます。
そこで今回は、これまでに1万人以上の男性のファッションの悩みを解決してきた男性専門パーソナルスタイリストである私たちが、仕事着からプライベート着まで、男性医師の服装選びやコーディネートについて解説します。
ファッションはプロに任せたいという男性医師の方は必見です!
目次
1.医者の代表的な3つの服装について
1-1 医者のイメージに最も近い「白衣」
まずは「ドクターコート」と呼ばれるような医者の方の代表的なワードローブをご紹介します。
医師というイメージに最も強いのが「白衣」ではないでしょうか。
(参照:クラシコ)
しかし、歴史を振り返ると、19世紀の医者は礼服の一種である「フロックコート」を着ていました。
診療を行う現場は礼節を重んじる場所であったからです。
(参照:Wikipedia)
そこから時の流れと共に、科学の進歩があり、医者も科学者同様の白衣を着用するようになったと言われています。
白が清潔感の象徴という理由ももちろんあります。
白衣には、大きくは2つの主な形があります。
① コート型
(参照:クラシコ)
メンズファッションにおける「チェスターコート」というコートと同じ形のコート型です。
チェスターコートについてはこちらの記事でも解説しています。
コート型は、前述のフロックコートにも近い形です。威厳や格式の高さも象徴されるようなこのコート型の白衣は最も定番的な形です。
② ジャケット型
(参照:クラシコ)
もうひとつはジャケット型です。
コートよりも着丈が短く、動きの取りやすさもありつつ、威厳も感じられる形です。
1-2 動きやすい「スクラブ」
最近では、「スクラブスーツ」と呼ばれるタイプの服を着る医者が増えています。
(参照:クラシコ)
スクラブは、ジャケットよりもさらに動きやすい作りになっています。動き回る医者にとっては白衣のように丈が長い服装だと、引っ掛けたり不便なことも多いので、そのようなことが無いような作りになっています。
スクラブは緑など白以外の色が多いのですが、これは医療行為を行う上で、赤い血液など汚れが付着した際にも目立ちにくいようになっています。
1-3 外科医や歯科医に多い「ケーシー」
外科医や歯科医の方に着用される方が多いと言われておりますが、もうひとつが「ケーシー」です。
(参照:クラシコ)
1960年代にアメリカで大ヒットした医療ドラマ「ベン・ケーシー」が名前の由来になっています。
スタンドカラーの半袖で体の中心ではなく肩にボタンがついています。体にフィットするのでコート型よりも動きやすく、見た目もシャープな印象になりますね。
2.医者の服装のお悩み~白衣の中やパンツは何を着れば良いのか?
それでは白衣の中には何を着れば良いのでしょうか?
意外と迷われる医者の方は多く、私たちもよく相談を受けます。
スクラブやケーシーであれば中が見えないものが多いですが、白衣の場合はインナー(中に着るもの)が見えてしまいます。インナーは特に決まった制服があるわけでもなく、いわば個々のセンスが表れるところなので気を遣いたいですね。
ポイントは、白衣はコート型にしてもジャケット型にしても、前身頃がジャケットと同じディテールになっているので、ジャケットのインナーとして使われるアイテムを取り入れていくといいでしょう。
2-1 インナー代表は「襟付きシャツ」、夏場は「ポロシャツ」
襟付きの「シャツ」は必須アイテムと言えるでしょう。
メンズファッションのジャケットのインナーとしても最も定番的です。
襟付きということで、スーツに近い見た目になるのでカチッとした印象が出て、ラフにならずしっかりとした印象が醸し出されます。
白衣の中から覗くのは首元、襟元なので、シャツの襟が高めのものを選ぶとカチッと感が引き出されるのでオススメです。
シャツの色は、無地であれば白、青(水色)、淡いピンクなどが合わせやすくさわやかな印象となります。
ちなみに、柄を入れるとカジュアル感が出てやわらかい印象になります。
柄の定番としては、ストライプやウィンドウペーン、グラフチェック、ギンガムチェックなどが挙げられます。
【ストライプ】
【チェック】
【ウィンドウペーン】
また、夏の襟付きアイテムの代表で「ポロシャツ」があります。
おじさんっぽくや、ゴルフ着っぽくならないためには、シャツ同様に台襟のついた立ち襟のタイプであると見た目がシャツに近くなるのでオススメです。
【ポロシャツ 立ち襟】
襟が立ち上がることで、襟元がワイシャツのような演出が出来て、上品な雰囲気が出せますし、白衣を被せても襟の形が崩れにくくなります。
白衣のインナーとして、少しでも涼しさを考慮するのであれば最適なアイテムとなります。
2-2 柔らかい印象の「カットソー、Tシャツ」や「薄手のニット」
シャツのように襟の付いていないアイテムをインナーとして用いると、カチッと感が軽減されてやわらかい雰囲気が醸し出せます。
特に春夏シーズンの代表例は、カットソーとなります。
襟元は、丸首やVネックが一般的です。カットソーは、少し地厚の長袖Tシャツのようなものです。
柄は無地がおすすめで、グレーや白、黒や紺などのベーシックな色目をジャケットに合わせてコーディネートすると落ち着いた印象になります。
また、秋冬シーズンは暖かみのあるセーター(ニット)、特に薄手のセーターを取り入れるとグッと上品さが増し、コーディネートの幅も広がります。
素材は寒くなければ綿、防寒性を高めたい冬はウールにすると季節感もバッチリです。
セーターは襟付きシャツの上に着ても良いですし、薄手でチクチクしないセーターもありますから、下着の上に着て、そこに白衣を被せるというジャケットコーディネートのような着方も可能です。
セーターを挟み込むだけでも、白衣のかっちりとした印象をやわらげ、やわらかさを醸し出してくれます。
【シャツ+セーター+ジャケット コーディネート】
【セーター+ジャケット コーディネート】
そして、暑い時期ではTシャツや半袖サマーセーターがインナーとして使い易くなります。
【サマーセーター】
【サマーセーター+ジャケット コーディネート】
綿で細かい網目のサマーセーターは、ニットであることでただのTシャツではない、非常に上品な雰囲気が簡単に出せますし、少しでも涼を感じることが出来ますので見た目にも爽やかです。夏の白衣インナーにはオススメです。
2-3 パンツは「チノパン」か「スラックス」がおすすめ
パンツは細身で、素材は綿ベースの「チノパン」か、ウール素材の「スラックス」が代表となります。
やわらかい印象にするには綿の「チノパン」がおすすめです。
【チノパン ベージュ】
チノパンの色は明るい色であればベージュやライトグレーが一般的。
濃色であればチャコールやカーキ、黒といったところです。
細身にするとスッキリ感が出るのでオススメです。
そこに動きやすさをプラスするのであれば、素材の中にポリウレタンなどストレッチが入っていれば(1~5%程度)生地が伸縮するようになりますので、細身でも動きが取りやすくなります。
また、チノパンよりももう少しカチッと決めたい!という方であれば、「ウールスラックス」がおすすめです。
スーツに限りなく近い印象となります。
スーツの下のパンツのような見た目です。形は全く一緒で、素材もウールにすると、チノパンよりもカチっとします。
スラックスの定番としては、チャコールグレーおよびライトグレーの無地、つまりグレーの濃淡で持っておくのが最も間違いないです。
3.イメージダウンは避けたい!白衣以外で医者におすすめの服装
ここからは、白衣以外の服装についての男性専門パーソナルスタイリストのおすすめをご紹介します。
通勤時や学会、休日の服装に至るまで、TPOに応じてどのような服装にすれば良いのかがわかります。
3-1 通勤時でも学会でもOKな「ジャケパン」
まず、最も間違いのないコーディネートは「ジャケパン」になります。
ジャケットに素材や色が異なるパンツを合わせたコーディネートになります。
2つボタンで紺や黒、チャコールグレーなどの濃い無地のベーシックなタイプのジャケットは、スーツに限りなく近い形ということもあり、スーツ以外で学会に行かれる方でも、最も定番的なコーディネートとなります。
パンツは前述のように、よりスーツに近づけてカチッとみせるのであればウール素材のスラックスで、あるいはやわらかい印象であれば綿のチノパンになります。
また、インナーは襟付きのシャツがベストですが、襟のないカットソーや薄手のニット(=セーター)の上に羽織ると柔らかい印象になりますし、コーディネートの幅も広がります。先ほどご紹介した、白衣の中に着る服を着回すこともできます。
足元もコゲチャや黒、紺など落ち着いた雰囲気の革靴やスニーカーにすることをオススメします。
このコーディネートをベースにして、季節によって素材や色目を変えられるとよりおしゃれな印象に感じられます。
【ジャケパン 春夏イメージ】
【ジャケパン 秋冬イメージ】
また、ニットやジャージ素材のような伸縮性のある生地を使ったジャケットもあります。動きやすさと見た目の堅苦しさを軽減させる効果があります。
シルエットはルーズにならないように、細身に見えるジャストサイズにすることをオススメします。ルーズなサイズ感はだらしなく見えてしまいます。
3-2 プライベートでの上品カジュアル
ジャケットを羽織らない場合でも、インナーは立ち襟の襟付きにしておくと上品さが出ます。
襟付きのシャツが一般的で、夏だと立ち襟のポロシャツで半袖、冬など寒い場合はシャツの上にセーターを着るという方法です。
【襟付きシャツ】
【襟付きシャツ+セーター】
【立ち襟ポロシャツ】
パンツはやはり、チノパンが最も相性が良いです。
また、襟付き以外の場合ですが、夏だとTシャツやサマーセーター、秋冬はカットソーやセーターを使って、上品な印象を残すことを心がけるといいでしょう。
【サマーセーター】
【Tシャツ】
【カットソー】
【セーター】
これらもシルエットはルーズにならないように注意してください。
また、アウターはブルゾンがおすすめ。
【ブルゾン】
春や秋であればこのような綿素材の着丈短めのブルゾンでスッキリとした印象を出します。
そして冬はコートなどを用いて季節感を補います。
カジュアルでも上品に見えるコーディネートをご紹介しました。
3-3 ビジネスでの定番アイテム「スーツ」
スーツの場合も、ベーシックなタイプが良いでしょう。
ネイビー(紺)や黒、チャコールグレー、ミディアムグレーというような色目で、中のシャツも白や水色で、いわゆるビジネスマンの雰囲気となります。
【スーツ ネイビー】
4.医者の服装をイメージアップするための3つのポイント
私たち男性専門パーソナルスタイリストが、イメージアップのために提唱する、服選びに重要なポイントは3点あります。
・細身のジャストサイズで全身を統一
・無地をベースに、コーディネートの色は3色以内に抑えよう
・素材は天然繊維で上品さを演出
となります。
4-1 細身に見えるようなジャストサイズで
体型にフィットした細身の「ジャストサイズ」で選び全身コーディネートさせることがとても大切です。
白衣も含めて、コーディネートはサイズ感がとても重要です。
【左:ジャストサイズ、右:オーバーサイズ】
この写真ではジャケットのサイズが違うだけですが、印象がガラッと変わると思います。一点だけでも印象が大きく変わってしまうので、全体のサイズ感を間違えると誰が見ても野暮ったい印象になってしまいます。
当然インナーも同様です。
男性は動きやすさや着心地を重視するために、実際の自分の体型よりも大きめのサイズを選びがちになります。その結果として途端に野暮ったく、老けて見られる可能性が高くなります。
太っている人でも、痩せている人でも同じイメージです。下手に体型をカバーしようとしてゆとりのある服にすると、かえって目立ってしまうこともあるので注意が必要です。スッキリと見せるのであればどのような体型の方でも「ジャストサイズ」が重要となります。
4-2 無地のベーシックな色合いで、コーデを3色以内にまとめる
使うアイテムは、無地でベーシックな定番色を使うと上品に決めることが出来ます。
柄物は他のアイテムとの合わせも難しいので選び方には注意が必要です。
例えば、ジャケットであれば濃紺やグレー、シャツであれば白や水色や淡いピンク、カットソーは明るいグレーや白、黒や紺、パンツであればベージュや黒、チャコールグレーなどがベーシックな定番色と言えます。
さらには使う色の数もあまり多くせずに、全身で3色以内にまとめると大人っぽい雰囲気にまとめることが出来ます。
4-3 素材は天然繊維で上品に見せよう
各アイテムの素材にも着目しましょう。
素材は天然繊維が使われているものを選ぶことでチープにならずに上品さが出せます。
男性は着心地重視で、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は軽くて取扱いもラクで機能性という意味でも重宝されますが、元々スポーツウェアやアウトドア用で使われる繊維ということもあり、スポーティな印象になったりチープに見えてしまいます。
その場合は機能性を補う目的で、少量、低混率の合成繊維が含まれた生地を使うのが良いでしょう。
・ジャケットはウール、あるいは麻や綿
・シャツ、カットソーはコットン(綿)
・パンツはコットン(綿)にポリウレタン5%程度
ジャケットはウール100%が最もおすすめで、カジュアル風に見せるのであれば綿や麻がおすすめです。
【ジャケット ウール】
まずウールはスーツにも使われる素材なので、カッチリした感じが演出出来ます。
逆にウールだと堅い印象かなと感じる方であれば、コットン(綿)がおすすめで、夏用であれば麻(リネン)です。
【ジャケット コットン(綿)】
ウールよりはややカジュアルな感じに見えます。
また、シャツは綿100%がおすすめです。
ポイントとしてはやや厚手の綿100%の生地にすると高級感が出ます。
ちなみにパンツですが、パンツも綿のチノパンで良いです。細身にするため、その際に動きやすくなるように、前述した通り、ポリウレタンという伸びる繊維があるので、1~5%混率に含まれていれば生地が伸びるのでラクになります。でも残りの95~99%までは綿のいわゆる「チノパン」に見える生地を選んでください。
5.医者の服装を揃えるためのおすすめショップ3選+白衣用1選
医者の方向けの洋服を揃えるためのショップをお伝えします。
大人な印象を出すために必要な要素が含まれたアイテムがある可能性が高いところです。
いずれのショップで購入されるにしても、必ず試着して、出来れば全身コーディネートしてお店の全身鏡で見ながら配色バランスやサイズ感などをチェックしてください。
5-1 白衣なら「クラシコ」
実店舗ではなく通販サイトではありますが、医者の方であればご存じの方も多い医療用白衣の専門メーカーです。
厳選された生地の質・デザインで、医師の生の声を聞いて作られたこだわりの白衣がラインナップされています。
商品バリエーションも豊富で、サイズ感もシャープに見えるような配慮がされています。
5-2 「トゥモローランド」で流行、定番共に揃います
セレクトショップは量販店よりも少し価格は上がってきますが、自社製造あるいは海外からのインポート(輸入)商品などもあり、上品コーディネート用も豊富です。中でもトゥモローランドはレディスも幅広い年齢層に人気があり、女性ウケも良いブランドでありますから押さえておくと良いでしょう。白衣のインナーやパンツ、学会など用にジャケパンなども揃います。
5-3 じっくり選びたい派なら「イセタンメンズ」
東京新宿にあるデパートで地下1階から8階まで全て男性向けのアイテムが揃っています。そのため品揃え豊富でもちろん医者の方で使っている方も多いです。
ブランド数も多く当然大人っぽいアイテムが豊富であります。「多くのものから選びたい!」という方にとっては最適ではないでしょうか。
売り場面積が大変広く、ブランドも多く混在しておりますので、ここから自分に合うものを探していく作業が慣れない方にとってはちょっと大変かもしれません。時間に余裕を持ってじっくりと買い物に行かれることをオススメします。
5-4 自分で選べない男性はプロに任せよう!「ライフブランディング」
お店に行ったけれど、自分ではいいものが選べない・・・など洋服の買い物に悩まされた男性は利用してみてください。
男性専門でファッションコーディネートサービスを提供しており、これまで1万人以上の利用者がいます。
医者の方で来店する方もとても多いです。
ショップと少し異なるのは、まずカウンセリング(洋服を着るシーンやライフスタイルをヒアリング)を行い、サイズを計測してから最適なコーディネートをプロが選びます。
服選びに悩まされた際にはホームページの無料相談フォーム、あるいはフリーダイアル0120-470-460で電話無料相談が受けられます。
6.医者の服装を揃えるおすすめの通販ショップ【BEST3】
服装選びはサイズが重要なため、仕事など重要なシーンで着る場合は、お店で試着をして選ぶことをおすすめします。とはいうものの、「お店に行く時間がない!」「そもそもお店が近くには無い!」という方もいるでしょう。その場合はネットで購入するのも一つの手でしょう。
そんな方のために、おすすめの通販ショップ【BEST3】をご紹介します。
【BEST1】「マネキン買い」で失敗知らず!メンズファッションプラス
やりすぎない、失敗しない無難な男服をコンセプトに、ファッション初心者でも気軽に買える「マネキン買い」が可能。コーディネート写真でいいなと思ったアイテムが一式で購入できてしまうのでラク!
【BEST2】「大人っぽいきれいめアイテム」ならスプートニクス
こちらも大人っぽくキレイめなアイテムが揃います。アイテムの種類が豊富で、選びやすいのも特徴。
【BEST3】厳選アイテムで初心者も買い物しやすいDcollection
シンプルでベーシックなアイテムが厳選された通販ショップです。ファッション初心者向けにファッションが学べるメディアやコーディネート例も豊富にあるので、ファッションがあまり得意でない方にもやさしい通販サイトです。
7.まとめ
いかがでしたでしょうか。
男性医師がどのような服装にすれば良いか?選び方のポイント、コーディネート例などをお伝えしました。
自分に合った洋服で正しい着こなしが出来れば爽やかでかっこいいイメージが演出できます。
これらを取り入れていただければ、オンオフどちらの場でも上品でサラッとかっこよく着こなして頂けます。
特に服装に悩む医者の方に参考にして頂けたら幸いです。