
ジーンズに並んで一番無難で定番のアイテムではないかと思われているのがチノパン。
その中でも、ベージュはクロやネイビーと同じくくらいショップでの取り扱いが多い代表的なカラーと言えるでしょう。
しかし、実際に自分でコーディネートするにはどうしたら良いかわからない、普段はクロなどの濃い色のチノパンを穿く機会が多い、おじさんぽく見えるといった理由から、抵抗を感じる男性は少なくありません。
実は、上下にどんな色を持ってきても合せる事ができる万能アイテムで、コーディネートもトラディショナルなきちんとしたスタイルからカジュアルスタイルまで幅広く使えるベージュカラーのチノパンの着こなし方を知らない男性は多く存在します。
そんな悩める男性の皆さんへ、今まで1万人以上の男性の服装に携わってきた現役スタイリストが、培った知識をもとに、ベージュのチノパンがいかに着回し力に優れているのか、また素敵な着こなしが出来るのかをコーディネート写真を用いながらロジカルにわかり易く解説します。
この記事を読んでいただいたことをきっかけに、今まで敬遠してきたであろうベージュのチノパンをご自身のコーディネートに加えることが出来て、オシャレかつ着こなしの幅がグッと広がることをお約束します。
目次
1.ベージュチノパンを着こなす上で押えておくべきポイント3選
1-1 細身のシルエットを選ぶ
自分の体型に合った「細身のシルエット」であることが重要です。
白やベージュなどの明るい色は膨張色と言われており、シルエットがぼやけて見えることから、濃い色を使ったコーディネートよりもシルエットが広がって見えてしまう特徴がありますので、よりサイズ感に注意して選ばなくてはいけません。
そして、お店に行き実際に試着することが重要です。
ネット通販など便利なツールはありますが、ご自身が穿いてみないことには正しいサイズ感・シルエットであることはわかりません。
1-2 素材は天然素材のものを選ぶ
選んで間違いがないのは天然素材の「綿」です。
ベージュの綿のチノパンは上下にどんな色を持ってきても合せる事が出来る万能アイテムです。
見た目の良さを考慮するならば、綿と「ポリウレタン」という樹脂系繊維が横に利用されているものを選びましょう。
伸縮性があるので、スッキリしたシルエットを選ぶことが出来ます。
最近では、夏には接触冷感、冬には吸湿発熱を謳う機能性素材も多く出てきていますが、ポリエステルやアクリルといった「合成繊維」と綿の組み合わせによるものが殆どです。
合成繊維は素材の特性上、独特のテカリがでることによって天然繊維が持つ上品さが消されてしまうため、せっかくベージュカラーを選んだとしても見た目の良さが半減してしまうのです。
また、パンツには必ず洗濯表示と呼ばれるパンツの組成と取扱い表示が記載された紙が付いていますので、綿(C)97~98%、ポリウレタン(PU)2~3%と表記されたものを選んでいただいたら大丈夫です。
サイズや素材などの詳しいチノパンの選び方については以下の記事もご参照ください。
大人カジュアルからデートまで!チノパンの選び方をシーン別にご紹介
1-3 ベージュのチノパンに合うアイテムを知る
最後に、どのアイテムを組み合わせたら最適なコーディネートが出来るのかをご紹介したいと思います。
1-3-1 シャツ
ON/OFF関わらず、普段から着る機会の多いシャツは使い勝手の良いアイテムと言えるでしょう。
普段あまりシャツに馴染が無い男性も、ベージュのチノパンを合せる事でカッチリ感が薄まるので、大人のカジュアルスタイルとして最適です。
1-3-2 セーター
シャツ1枚だと、カジュアルスタイルとして違和感を覚える男性もいるかもしれませんが、セーターをプラスする事でカッチリ感の中に柔らかい印象をプラスすることが出来ます。
セーター1枚で合わせると、襟が無くなることでより柔らかくカジュアルな着こなしになりますので、ベージュのチノパンとの合せは最高の組み合わせと言えるでしょう。
1-3-3 靴
コーディネートする上で靴は重要なピースです。
革靴を合せる事でベージュのチノパンもカッチリとした着こなしに、スニーカーも素材によって雰囲気を変えることが出来るでしょう。
1-3-4 ベルト
革タイプのベルトは大人っぽさとカジュアルさを合わせ持っている便利なアイテムです。
ベージュのチノパンであればどの色の合せも可能ですが、クロ、茶系、ネイビーなど相性が良いカラーと言えるでしょう。
大人カジュアルスタイルで利用できるピン付ベルトもクロだとカッチリ、茶系やネイビーはカジュアルさも合せ持ちます。メッシュタイプもカジュアル感があるので普段とイメージを変える上で一役買ってくれるでしょう。
1-3-5 バッグ
革素材は大人っぽさ、ナイロンなどの合成繊維と革の組み合わせはスポーティーな雰囲気の中にカジュアル感を感じさせます。
ベージュのチノパンはどんな種類のバッグとも合せが出来ますが、手提げタイプはカッチリとした印象になり、ショルダーバッグやディーバッグのようなタイプはカジュアルな装いにピッタリです。
1-3-6 ブルゾン
基本的に合わせられない色はありません。
濃い色のブルゾンを合せる事でより大人っぽく、明るい色と合せる事で柔らかい雰囲気になります。
ブルゾンもチノパン同様、細身のシルエットで選ぶことで統一感のあるスッキリした着こなしが出来ます。
1-3-7 ジャケット
仕事ではスーツの上着、ちょっとカッチリした場面で着る機会の多いジャケットは大人の代表アイテムと言えるでしょう。
ベージュのチノパンであれば、クロや濃いグレー、ネイビーなどの代表カラーのジャケットはもちろんのこと、どんな色でもイメージを下げることなく着こなすことができる万能選手です。
ジャケットは男性の洋服の中で最も選び方難しいアイテムと言われているので、注意して選ぶようにしましょう。ポイントは「サイズ」「色」「素材」の3つです。
1-3-8 コート
場面に即したコートを選びましょう。
冬場や肌寒い時期に活躍するコートは、お洋服を着る表面積の大部分を占めること、実は注意して選ぶべきアイテムと言えます。例えば、着丈が長いカッチリしたコートも、ベージュのチノパンと合せる事で柔らかい雰囲気を醸し出せますし、柄を加える事で違った雰囲気を加える事も出来ます。
2.ベージュチノパンの色別コーディネート
ベージュのチノパンは万能カラーだと、ことあるごとに言ってきましたが本当にそうなの?と半信半疑の方の為に、写真を使って説明していきます。
コーディネート写真には、1章でご紹介した合せるべきアイテムを使っていますので、より理解し易い内容になっていると思います。
ちなみに、モデルが実際に着用しているチノパンは全て同じ物であることを予めお伝えしておきます。
2-1 ネイビー(定番色)×ベージュ
ベージュ同様、ネイビーはどんな色でも合せが効く万能カラーですので、王道としての間違いのないコーディネートを完成されることができます。
カッチリした濃いネイビーカラーのジャケットが映える着こなしです。
バッグもレザータイプのマチの狭い手提げバッグを持つことで、全体的にスッキリとした着こなしになりました。
綿素材の柔らかいブルゾンを合せる事でアクティブなデートも対応出来ます。
足元にレザースニーカーを持ってくることで大人っぽさを演出していきましょう。
2-2 ブラック ×ベージュ
濃い色の代表格であるブラックも、ベージュと合せる事でカッチリしたイメージを中和させることが出来ます。
襟付きシャツの上に1枚セーターを合せるだけで、カッチリとした中に柔らかさをプラスすることが出来ます。
ビジネスシーンでも、会社の服装規定が緩い場合は、社内での急な来客もこちらのコーディネートで対応可能です。
私服を着るシーンにおいても、冬場は濃い色が増える事から重たいコーディネートになりがちですが、上下で色のコントラストを出すことによって払拭することが出来ます。
2-3 ホワイト(定番色)×ベージュ
清潔感を感じさせるホワイトは大人のコーディネートにも良く利用されるカラーですが、上下が明るい組み合わせは難しいスタイルとも言えるので注意が必要です。
定番とも言えるスタイルであるがゆえに、それぞれのアイテム選びに注意が必要です。
シルエット・サイズ感に注意を払ってコーディネートすることで、周りのスタッフや取引先の相手よりも一歩リードした着こなしが出来る事でしょう。
カーディガンのインナーをカットソーにすることで大人のカジュアルスタイルが完成します。一見難しそうなホワイトも、インナーを濃い色でまとめる事によって引き締め効果を与える事が出来ます。
2-4 グレー(定番色)×ベージュ
ブラックやホワイトとグレーは「無彩色」と呼ばれ、コーディネートしやすいカラーとして重宝されています。
スーツ出来る機会の多いグレーを、ジャケパンスタイルに置き換えて、シャツを着ずにセーターを合せたビジネスカジュアルです。グレーのジャケットが知的の印象を与えつつも快活なイメージを相手に与える事が出来ます。
私服はもちろんのこと、クールビズを取り入れている会社でもポロシャツは着ていくことが出来るので便利なアイテムと言えるでしょう。
落ち着いた印象の濃いグレーと、活動的な印象を与えるベージュは見事にベストマッチの組合せと言えます。
2-5 ブルー(シーズン色/春夏)×ベージュ
色鮮やかなブルーは清涼感や爽やかさを印象付けるので夏にもってこいのカラーです。
いずれもベーシックなアイテムですが、サイズ間を意識して選ぶことで大人カジュアルスタイルを完成させることが出来ます。
2-6 カーキ(シーズン色/秋冬)×ベージュ
自然の森などを印象付けるカラーであるため、安心感を与える色でもあります。
また、カーキ色のファッションは、オシャレでモダンな印象を与える事ができるので秋に適していると言えます。
重たいコーディネートになりがちなカーキも、綿素材のジャケットと合せることでちゃんとしたジャケットスタイルが完成します。
2-7 ピンク(差し色)×ベージュ
原色だと抵抗感を感じるピンクも淡い色を選ぶことでコーディネートとして取り入れる事ができます。
定番のシャツスタイルも、ストライプ柄を用いる事で派手すぎない大人のカジュアルコーディネートが完成します。
2-8 パープル(差し色)×ベージュ
ピンク同様、コーディネートにインパクトを与えてくれるカラーです。
全体としてではなく、差し色として使うことでオシャレ感を演出することが出来ます。
3.ベージュチノパンの季節別コーディネート
色に関して定番カラー・シーズン性を感じさせるいずれのカラーも合せることが出来ることを証明しましたので、この章では、季節別にベージュのチノパンの合わせ方をご紹介していきます。
また、それぞれの季節でON/OFFの着こなし方を写真付きで載せますので参考にしてみて下さい。
3-1 春
3月中旬~5月下旬ぐらいの服装イメージになります。
3-1-1 カッチリ
肌寒い時には薄手のセーターを中に着る場合もあります。春らしく淡いグレーのセーターはベージュパンツとの相性も抜群です。
3-1-2 カジュアル
私服の時には、薄手のブルゾンやパーカ―など羽織る物があると便利です。
3-2 夏
7月~9月にかけての暑い夏の服装イメージです。
男性の場合、ゴールデンウィークが明けた5月中旬くらいから半袖を着る方はいますが、この時期は半袖でも暑さを感じるでしょう。
3-2-1 カッチリ
半袖シャツを好んで着る方もいますが、クールビズではポロシャツを推奨している会社も多いです。
ポロシャツの場合、もともと裾を外に出して着ることを想定した規格であるため、より活動的なイメージにあります。落ち着いた雰囲気を出すならグレー系、爽やかな印象にもっていくならホワイトやブルー系のポロシャツがお勧めです。
3-2-2 カジュアル
半袖シャツを前開きの状態できると、インナーのTシャツが見える範囲が広がることで、よりカジュアルな印象になります。
インナーのTシャツの着丈がが半袖シャツよりも長くなると野暮ったい印象になるので気を付けましょう。
3-3 秋
春と近しい気温を想像する方もいらっしゃいますが、冬に向けて徐々に肌寒くなっていく季節ですので、店頭で展開される色もグレーやブラックなどの濃色が多くなってきます。
3-3-1 カッチリ
ジャケットの中にセーターを加えたコーディネートが多くなるでしょう。
セーターにブラックや濃いグレーを加える事で、落ち着いた知的の印象を与える事が出来ます。
3-3-2 カジュアル
羽織物も少し厚地のタイプが増えてきます。
厚手の綿素材のブルゾンやジージャンにストール巻いた着こなしは、首元にアクセントが効いて柔らかい印象になるのでお勧めです。
3-4 冬
11月下旬~2月下旬の服装イメージです。
1年で一番寒い時期ですのでとにかく暖かくして出かけましょう。ただし、着る枚数を多くするとモコモコと着ぶくれするので注意が必要です。
3-4-1 カッチリ
コートの端からスーツの上着の裾が見えるとみっともないので、着丈が長いウールコートを合せましょう。
着丈の長さはお尻が隠れる~膝上くらいです。あんまり長いと相手から権威的に見られてしまいとっつき難い印象を持たれます。
3-4-2 カジュアル
濃色のウール素材のコートを選びましょう。マフラーも明るい色を選ぶことでカッチリシーンとはまた違った柔らかさを演出することが出来ます。
4.ベージュチノパンの着こなしQ&A
当サロンにお越しになるお客さまからもベージュのチノパンに関するお問い合わせは数多く頂いております。
その中から抜粋して、皆さんがより素敵に着こなしが出来るようにお答えしたいと思います。
4-1 ベージュのチノパンに合せるならどんな靴が良いのか?
まずは履く場所や場面によって使い分けるのが大事です。
お仕事の場面では、ビジネスシューズを履く機会が多くなると思いますし、選ぶ色もブラックや濃いブラウンが無難と言えるでしょう。
かえってカジュアルシーンであればスニーカーも大丈夫です。
より柔らかい印象にもっていくならキャンバス地のホワイト、ブラック、ネイビーといったスニーカーもありですし、より大人っぽく見せたいのであればブラック、ブラウン、ネイビーといったレザースニーカーがお勧めです。
より詳しい靴の選び方を知りたい方はこちら
4-2 ベージュのチノパンにポロシャツだとおじさんぽい?
決してそんなことはありませんのでご安心ください。
ポロシャツ選びで重要なポイントは「サイズ」「色の組合せ」です。
この点に注意を払ってアイテムを選んで頂けたら、先ほどのコーディネート事例で証明した通り、スッキリと着こなすことは可能です。
あやまって上下共にゆったりとしたアイテムを選んでしまうと、「中年オヤジの休日スタイル」に成り下がってしまうのでお気を付け下さい。
より詳しいポロシャツの選び方を知りたい方はこちら
4-3 ベージュのチノパンに黒ベルトは有り?
黒ベルトももちろん大丈夫です。
レザー素材の黒はどんなアイテムでも合わせる事が出来る万能アイテムです。
皆さんがあまり知らないであろう注意ポイントを挙げるとするならば、ベルトの縦の幅です。
基本的に30mm以下はビジネス用、40mm以上がカジュアル用となるので、まずちゃんとした1本を手に入れられるのであれば、ON/OFF兼用できる「35mm」を選びましょう。
より詳しいベルトの選び方を知りたい方はこちら
5.ベージュチノパンを購入するならココ
長きにわたりベージュのチノパンに関する情報をお伝えしてきましたので、この章では実際に購入できるお店をご紹介したいと思います。いずれのショップも全身揃えることが出来るお店をセレクトしてみました。
5-1 ユニクロ
言わずと知れた日本を代表する大手カジュアル量販店です。
全国にショップ展開しており、ベーシックで値段に対する品質の良さも売りの一つですが、有名デザイナーとのコラボ商品を展開していたりと、ファッション性を意識したアイテム展開も増えてきています。
手始めに購入を検討されている方は、先ずはユニクロから始めましょう。
2,900円~3,900円と良心的なプライスです。
ホームページはこちら:http://www.uniqlo.com/jp/
5-2 丸井
都心部を中心に展開している大手百貨店の1つです。学生時代に利用して男性も少なくないため、意外と思われる方も多いですが、20代~30代前半の年代層をターゲットとした細身のサイズ感のアイテムも多く展開しています。
今までシルエットを意識して来なかった方は、実際にショップで試着してみていただき、ご自身が今まで穿いていたチノパンとの違いを確認してみてください。
価格帯も7,900~12,000円とお店ごとに設定が異なりますので、色んなブランドを見てみたい方にはお勧めです。
ホームページはこちら:https://www.0101.co.jp/
5-3 ユナイテッドアローズ
主要都市を中心に展開しているセレクトショップです。国内外で人気のブランドを仕入れて販売しているので、ファッション好きな方にも満足いただけると思います。
自社でもプライベートブランド展開をしているので、良質かつ安価でベーシックなチノパンを手に入れることが出来るのもメリットの一つです。
10,00円~25,000円と幅広い価格帯になります。
ホームページはこちら:http://store.united-arrows.co.jp/shop/ua/
5-4 伊勢丹メンズ館
新宿にある地下1階から8階まで全て男性向けフロアのデパートです。品揃えの豊富さは日本最大級です。
チノパンの品揃えも豊富で、数多くのブランドの取扱いがあるので、探すのはやや大変ですが、ファッション好きにはお勧めだと言えます。その中でも、6階、7階が大人のカジュアルウェアをより多く展開しているフロアになるので、こちらを確認することをお勧めします。
6.まとめ
今までベージュのチノパンを穿く機会が無かった人も、持って入るけどコーディネートの仕方がわからなかった人もいたと思います。
ポイントさえしっかり押さえたら実に使い勝手の良いアイテムであることが分ったのではないでしょうか。
周りからの反応が良くて、着回し抜群となればぜひ使ってみたいと思いますよね。
この機会にぜひ、ベージュのチノパンを穿きこなしていただき、オシャレ上級者を目指しましょう。