近年では働く業界や企業によって、服装規定の幅も広がりを見せてきました。
ビジネスカジュアルを取り入れている会社に勤める男性にとっては、服装の自由度が高くなるので、日々の服選びも難しく感じていることでしょう。
私たちは10年以上に渡り、男性専門に個人向けファッションコーディネートサービスを提供しておりますが、実際にサロンへお越しになるお客さまからも、ビジネスカジュアルについてのご質問は多く承っており、中でもジャケットをどのように選んだら良いのかわからないとの声をよく聞きます。
シャツの上から羽織るだけで、デキる男をしっかり演出してくれるジャケット。
ビジネスシーンにおいて重要なアイテムだけに、自分にあったモノを手元に準備しておきたいものですね。
でも、自分で選ぶにはどうしたらいいかわからない…
そんな悩める男性の皆さんへ、今まで1万人以上の男性の服装に携わってきた現役スタイリストが、培った知識をもとに、ビジネスシーンで映えるジャケットを使ったコーディネートを写真を使ってわかり易く解説します。
この機会に仕事も出来て、服装にも気を使えている「デキる男」を目指しましょう!
目次
1.ビジネスカジュアルで使うジャケットを選ぶポイント
ビジネスカジュアルにはこれという明確な定義が存在しません。
定義が曖昧ということは、どこまでカジュアル感を取り入れるかが重要なポイントになります。
ここで、ビジネスシーンのジャケットはどの様に選ぶのがいいかをお伝えしたいと思います。
ポイントとしては、自社の服装規定から外れないことはもちろん、お会いする相手先の会社の服装規定についても頭に入れておきましょう。特に、相手先がお客様の場合は、基本的には相手先の会社の服装規定(ドレスコード)に合わせた方が間違いありません。
以上を踏まえた上で、ジャケットを選ぶポイントは3つです。
1-1 サイズ
サイズは「ジャストサイズ」を選びましょう。
多くの男性は機能性の観点からゆったりとしたシルエットを好みますが、ジャストサイズのジャケットを着ることでスッキリ、スマートな印象を与える事が出来ます。
仕事がデキる男は、自己管理もしっかりしていますので体型もちゃんと把握しておく必要があります。
見るべきポイントは、胸回り(バストサイズ)と胴回り(ウェストサイズ)です。
〇シャツの胸回り(バスト)のジャストサイズ=胸回り(バスト)実寸+15~20cm
〇シャツの胴回り(ウェスト)のジャストサイズ=胴回り(ウェスト)実寸+10~15cm
モデルにジャストサイズのジャケットを着せた写真と、大きいサイズのジャケットを着用させて比較してみましたので、見てみましょう。
・ジャストサイズ
・オーバーサイズ
ジャストサイズのジャケットを着るとスッキリと爽やかな印象になるのに対して、過度に大きいサイズのジャケットを着ると野暮ったくなるため、なんだか仕事を依頼するには頼りなく感じてしまいます。
相手先の会社担当者から信頼を勝ち取るためにも、サイズはしっかり意識して選ぶようにしましょう。
1-2 色・柄
最初に持つべき1着を選ぶのであれば「濃い色」がお勧めです。
濃い色以外も含めて、それぞれの色が与える印象をモデルのコーディネート画像を通して紹介していきます。
1-2-1 濃い色のジャケットコーデ
代表的な色としてネイビーや濃いグレー(チャコールグレー)があります。
他の服とのコーディネートもしやすく、落ち着いた大人の印象を与える事ができるため、取引先の相手にも信頼性を感じて貰えることでしょう。
・ネイビー
清潔感を感じさせるネイビーは、ビジネスシーンにおいて相手への信頼を表すことが出来る便利なカラーと言えます。
・チャコールグレー
無彩色と言われるグレーは、他の色との組合せも難なく合わせることができます。加えて落ち着いた印象を与えるため、大人としての余裕も感じさせてくれるカラーです。
1-2-2 明るい色のジャケットコーデ
着回しの観点から、バリエーションを増やすのであれば「明るい色」を加えましょう。
代表的なカラーとしてライトグレーがありますが、中間色であることから様々なカラーと相性の良い着回しし易いカラーです。
・ライトグレー
柔らかい雰囲気の中に大人っぽい落ち着きを感じさせる色合いであるため、知的で物腰の柔らかい印象を与える事が出来ます。
このように、表面積の大きいジャケットの色を変えるだけで印象が変わるため、デキる男の中には、相手先の会社へ訪問する際に2回続けて同じ色のジャケットを着ない人もいます。
1-2-3 チェック柄・ストライプ柄のコーデ
中には縦横格子状のチェック柄、縦線のストライプ柄などもあります。
・チェック柄
・ストライプ柄
ジャケット単体でカジュアルな雰囲気を醸し出すことができるので、アパレル関連やIT、マスコミ関係の職種の方には使い勝手が良いアイテムと言えるでしょう。
過度な配色や色の組合せによってはカジュアル過ぎる印象を相手に与えてしまうので、初めて取り入れるのであれば、ベースが濃い色にして単色使いの柄にするとコーディネートはし易くなります。
1-3 素材
男性の服装では、相手に与える印象の1つに「素材」という側面が深く関わっています。
女性と比べて、男性の洋服の種類やデザインは似通っているため、素材を通して差別化を図ることはよくあります。
この章では、ビジネスの場において「違いをみせたい」と思う男性にとって選ぶべき素材を紹介していきます。
1-3-1 ウール素材
高級感を醸し出す天然繊維、中でもカッチリとした見え方が印象的な「ウール」はお勧めです。
・ウール素材
近年では、シワになりにくい・手入れが簡単などの機能性を謳った素材が多く出回っていますが、その多くはポリエステルなどの合繊素材か「ウールとの混合」素材になります。
合繊素材の特徴は光沢感によるチカチカした見え方になるため、この光沢感がチープに感じられることもあるので注意が必要です。
1-3-2 綿素材
印象やイメージを変えるにあたり、季節に合わせて素材を変えるのも有効な手段の一つです。
その際選ぶポイントとして「天然繊維」を選ぶようにしましょう。
・綿素材
麗らかな日和が印象的な春や秋の季節には綿素材がお勧めです。
綿素材のジャケットを羽織ることで、カッチリした見え方のするウールよりも柔らかい印象になります。
1-3-3 麻素材
照りつける日差しが印象的な夏には、清涼感を感じさせてくれる「麻」素材が良いでしょう。
実際に着用するとサラッとした肌触りで、汗をかく暑い夏でもべとつかず恰好の素材と言えます。
同じウール素材のジャケットでも色を変えたり、素材を変える事によって相手に与える印象はガラッと変わりますが、一番重要なポイントは相手先の服装規定をしっかり把握したうえで選ぶことです。
自分からみてオシャレだと感じても、相手先の担当者が不快に感じる様では、デキる男として認めてはもらえません。しっかりTPOをわきまえて臨むようにしましょう。
2.ビジネスカジュアルで使えるジャケットコーデ7選
1章でご紹介したポイントを踏まえ、ビジネスシーンで着るべきジャケットをご紹介します。
2-1 ネイビージャケット×セーター(濃い色)×白シャツ×スラックス
同じウール素材で色違いのジャケットとスラックスの組合せ、通称「ジャケスラ」はビジネスカジュアルの中でもカッチリした着こなしです。
ネイビーとチャコールグレーの定番的なコーディネートにVネックのセーターを加える事で、柔らかい印象にする事が出来ます。
2-2 チャコールグレージャケット×白シャツ×チノパン
濃いグレーのジャケットにカジュアルシーンで着るチノパンを合せる事で、落ち着いた印象の中に柔らかい要素がプラスされました。
2-3 チャコールグレージャケット×セーター(明るい色)×白シャツ×チノパン
寒い季節には薄手のウールセーターを合せる事で防寒対策はもちろん、印象を柔らかく見せる事も出来ます。
下に合わせるパンツを黒やカーキ系の色を合せることで全体的に締まったコーディネートになり、より大人っぽい印象になります。
2-4 ライトグレージャケット×シャツ×チノパン
全体的に明るい色に纏めることで、華やかな印象を与えつつもジャケットを羽織ることでカッチリ感が出てきます。服装規定の自由度が高いIT系やマスコミ系にお勧めのコーディネートです。
2-5 ネイビージャケット×Vネックセーター×チノパン
シャツを抜くことでスッキリとした印象になりカッチリ感が抜けます。
Vネックのセーターを合せる事で、首元がシャープになり洗練されたビジネスマンを演出する事ができます。
カジュアルな雰囲気になるので、相手先に訪問する機会がある方は服装規定をしっかり把握したうえで臨むようにしましょう。
2-6 綿ジャケット(チャコール)×シャツ×チノパン
素材をウールから綿に変える事で、見た目の印象が柔らかくカジュアルな印象になります。
肩パットを無くしたりフロントのポケットを外付け仕様にすることで、より柔らかい雰囲気にすることが出来ます。
2-7 麻ジャケット×白シャツ×チノパン
春から夏にかけて暑い時期には、サラッと羽織れる麻素材がお勧めです。
ライトベージュなどの明るい色が定番ですが、あえて濃いネイビーなどでコーディネートする事で、相手先の服装規定がカッチリしている会社でも羽織ることができます。
ビジネスカジュアルの着こなしについて基本から詳しく写真で説明しているこちらの記事もご参照ください。
初めてのビジネスカジュアルも悩まない!ビジカジの基本を季節別解説
3.トータルコーデに気を付けてワンランク上のビジネスカジュアルに
ビジネスカジュアルにおいて、ジャケットスタイルを構成する主要アイテムは、「ジャケット」「シャツ」「パンツ」です。
コーディネートする上で表面積の大きい部分を占める3アイテムを、しっかり選ぶことは重要ですが、それ以外の部分にも気を付けて選ぶ「トータルコーディネート」こそが、デキる男になるポイントです。
この章ではそれぞれのアイテムをクローズアップしながらご紹介していきます。
3-1 革靴
合皮やゴム素材によるビジネスシューズもありますが、見た目の印象を意識して天然素材の革靴を選びましょう。
カッチリ見えるクロや着こなししやすいコゲチャ色を軸にして、コーディネートしやすいストレートチップはお勧めです。
革靴選び方はこちら→ビジネスカジュアルでは革靴が間違いない!デキる男が選ぶ5デザイン
3-2 革ベルト
ビジネスシーンでは基本、シャツはパンツの中にしまうため体の中心に存在するベルトは重要なポイントとなります。
革素材で、コーディネートしやすいコゲチャ色を選び、留める位置を自在に調節できるバックルタイプではなく、ベーシックで大人っぽく見える、留金を穴に通して固定するピン式バックルを選びましょう。
3-3 手提げバッグ
カッチリしたジャケットを羽織る場合は、革の手提げバッグを持つようにしましょう。
色は濃紺か茶色がコーディネートしやすく、革素材を選ぶことで落ち着いた大人の印象を与えることが出来ます。
せっかくジャケットをスッキリと着こなしても、リュックを背負ってしまうと肩が潰れて見た目の印象が台無しになってしまうので気を付けましょう。
3-4 セーター
シャツやジャケットなどのカッチリした着こなしを適度に柔らかくする事も出来て、便利なアイテムと言えます。
大人っぽく見えるウール素材で首元がスッキリした印象になるV字(Vネック)、色は落ち着いた印象を与える濃いチャコールあたりがお勧めです。
セーター選び方はこちら→女性目線も問題なし!鉄板の大人メンズセーター着こなし術
3-5 ステンカラーコート
冬に着るコートは、襟が付いてカッチリとした大人の印象になるステンカラーコートがお勧めです。
素材は温かみを連想させるウールを選び、落ち着いた無地の濃い色にするとコーディネートもしやすくなるでしょう。
コート選び方はこちら→モコモコダウンはNG!この冬着るべきステンカラーコート着こなし術
4.ビジネスカジュアルの注意点
この章では、ビジネスカジュアルを実践するにあたり、皆さんがコーディネートで取り入れ兼ねないアイテムを纏めてみました。
1点間違えるだけでもイメージは台無しになってしまうので気を付けましょう。
4-1 スーツのジャケットをそのまま着用
カッチリしたウール素材のスーツはそもそも素材自体が伸びませんので、機能面も考慮して大き目に作られている事が多く、ビジネスカジュアルで着こなすアイテムとして安易に選んでしまうと着丈は長くなり、ダボダボになってしまいます。
その結果、見た目の印象は上がりませんので、単体で販売されているジャケットを選ぶようにして下さい。
4-2 ダメージジーンズ
モモや裾などにダメージがついたジーンズは周りから見て清潔感を感じさせない雰囲気を持っています。
たしかに、ジャケットの着回しバリエーションとして崩した着こなしはありますが、商談時や重要なプレゼンの場面では砕けすぎてしまうため相応しくありません。
4-3 スポーツシューズ
最近のファッションシーンでは、足元にあえてスニーカーを合せる「着崩す」着こなしがありますが、ビジネスシーンでは砕けすぎてしまうため相応しくありません。
5.まとめ
ビジネスカジュアルにおいて、ジャケットが相手に与える印象は大きいです。
表面積の一番大きい上着として着用するので、とにかくジャケットを羽織っていれば良いというわけにもいきません。
今回の記事を通して、ビジネスシーンで着るべきジャケットを選ぶポイント、コーディネートの仕方などポイントを押えてお伝えしてきました。
先ずはこの通りにやってさえ頂けたら、今までのコーディネートよりもちゃんとイメージを上げる事は簡単に出来ます。
皆さんのビジネススキルをより発揮できるように、まずは服装から変えていきましょう。
▼こちらの記事もぜひ参考にしてみてください!
▼季節ごとのビジネスカジュアルの着こなしはこちらが参考になります。