
男性にとって定番アイテムである万能チノパンとカッチリしたジャケットを合せるスタイルは、ビジネスカジュアルの代表的なコーディネートと言えます。
しかし、いざ実践しようにも基準がないのでどうしたら良いかわからないかもしれません。
実は、チノパンとジャケットを選ぶポイントさえ押さえてしまえば、これらを使ったビジネスカジュアルはそこまで難しくありません。
選ぶポイントは「色柄」「素材」「サイズ」の3つです。そして、チノパンとジャケットの合わせ方のポイントは「色の組み合わせ」と「全体のシルエット」の2つとなります。
今回は、今まで1万人以上の男性の服装に携わってきた現役スタイリストが、コーディネート写真を用いながら、ビジネスシーンでカッコよくイメージを上げる方法をわかり易く解説します。
これを機にジャケパンをご自身のコーディネートに加えた結果、取引先の相手や周りのスタッフからの印象アップができ、なおかつ着こなしの幅がグッと広がることでしょう。
目次
1.チノパンとジャケットを着こなすためのポイント2選
先ず、デキる男を演出するために、チノパンとジャケットを上手く着こなす上で押えておくべきポイントは2つです。
1-1 色の組合せ
着ていく「場所」「場面」をしっかりと意識して選ぶことが重要です。
「クロ」や「チャコールグレー」などの濃い色は大人っぽくまじめな印象になり、単色の「ライトグレー」や「ベージュ」などの明るい色は柔らかくカジュアルな印象になるように、色によって見た目の印象が変わるからです。
・濃い色(チャコールグレー)
・濃い色(ネイビー)
例えば、上司と共に取引先へ訪問する場合は、双方に対して失礼が無いように、落ち着いた「チャコールグレー」のジャケットがお勧めです。相手先の服装規定がスーツもしくはネクタイ着用必須のビジネスカジュアルである場合は、「ネイビー」や「クロ」のチノパンでカッチリと纏めましょう。
・明るい色(ライトグレー)
・明るい色(ベージュ)
IT、マスコミ系といった、相手先の服装規定が緩い場合には、「ライトグレー」のジャケットや「ベージュ」や「シロ」などの明るい色のチノパンを合せて柔らかい雰囲気を醸し出すのも有りです。
1-2 シルエット
ビジネスシーンにおいて、選ぶべきシルエットは「細身」のシルエットです。
自分の体に適したサイズのジャケットとチノパンを着ることで、相手先の担当者からは「ちゃんと自身の体型を意識して洋服をえらんでいるのだな」「依頼した仕事もちゃんと取り組んでくれそうだな」と思ってくれます。
注意すべきポイントとして、単色のシロやベージュは膨張色であるため、他のカラーコーディネートよりも横に大きく見えてしまいますので、よりサイズ感に意識して選ぶようにしてください。
2.チノパンとジャケットの選び方
この章では、チノパンとジャケットの選ぶべきポイントについて簡単にお伝えしていきます。
より詳しく知りたい方はリンクをご紹介するのでそちらを見てください。
2-1 チノパン選びのポイントは「サイズ」
どの様なシーンでも着回しが出来る便利なチノパンがあると便利ですよね。
ここで、チノパンを選ぶ時の重要ポイントとしては「サイズ」です。
いかに色目が合っていたとしても、身体にフィットしていなければ野暮ったいイメージとなってしまいます。
色を生かすも殺すもサイズに大きく左右されますので、サイズさえ合っていれば、多少色を冒険することも出来ます。より詳しく知りたい方はこちら
2-2 ジャケット選びのポイントは「色」「サイズ」「素材」
ビジネスシーンにおいて選ぶべきジャケットは「テーラードジャケット」です。
テーラードジャケットとは、スーツのジャケットのようなしっかりとした仕立てのジャケットのことです。日本では、私服で着る、かっちりめのジャケットとして捉えられています。
そして、選ぶ時のポイントは「色」「素材」「サイズ」の3つになります。
より詳しく知りたい方はこちら
3.チノパンとジャケット季節別コーディネート(ビジネスカジュアル)
ポイントを押えた上でシーズン別のジャケパンコーディネートをご覧いただきましょう。
チノパン・ジャケットそれぞれのカラーを季節に合せてご紹介していきます。
3-1 春のチノパンとジャケットのコーディネート
3月中旬~5月下旬ぐらいの服装イメージになります。
チャコールグレーのジャケットは落ち着いた知的の印象を相手に与えます。カッチリし過ぎないように、ストライプ柄のシャツとベージュカラーのチノパンで柔らかさを出しました。
ベージュカラーのチノパンとネイビージャケットの定番スタイルに、パープルなどのアクセントカラーのセーターを合せることで春らしくもスタイリッシュな印象になります。
3-2 夏のチノパンとジャケットのコーディネート
7月~9月初旬にかけての暑い夏の服装イメージです。
最高気温が30℃を超える日も出てくる真夏の日にもジャケット着なければいけない場面を想定してみました。
シロのチノパンで爽やかさを、ネイビーのジャケットには「麻」などの通気性の良い物を選ぶと良いでしょう。また、中に着るシャツは淡いブルーなどを選ぶと涼しげな印象になります。
職場や訪問先の服装規定が緩い場合には、中のインナーを半袖のカットソーにすることで、首回りがスッキリするため相手に涼しさを連想させることができます。
3-3 秋のチノパンとジャケットのコーディネート
9月中旬~11月中旬にかけての服装イメージです。
春と近しい気温を想像する方もいらっしゃいますが、冬に向けて徐々に肌寒くなっていく季節ですので、ジャケットの中に薄手のセーターを加えることが増えてきます。
春でご紹介したベージュカラーのチノパンも、綿素材のカーキカラーのジャケットを合せることで、また違った印象を与えてくれます。チャコールグレーのセーターを合せることで季節感をプラスしていきましょう。
オシャレ感を感じるカーキカラーのチノパンに、濃い色のグレージャケットは秋を連想させる組合せと言えるでしょう。上下共に濃い色を使ったコーディネートは、相手に知的で落ち着いた印象を与える事が出来ます。
3-4 冬のチノパンとジャケットのコーディネート
11月下旬~2月下旬の服装イメージです。
1年で一番寒い時期ということもあり、夏と対照的に暗い色が多くなる傾向が有ります。
全体的に濃い色を使ったコーディネートですが、色のトーンが違うのでスーツっぽく見えません。
ネイビーのジャケットもクロのチノパンを合せることでスタイリッシュに着こなすことが出来ます。
濃い色を使ったコーディネートには、インナーに差し色を持ってくるとオシャレ感がでます。パープルやワインカラーなどワンポイント入れることで印象がガラッと変わるのでお勧めです。
中のセーターやシャツの色はそのままで、ジャケットの色を変えるだけでも違う表情になります。
秋から冬にかけて重たいカラーが増えて単調な色合いになりがちの中で、無彩色のグレーは使い勝手が良いと言えるでしょう。
4.チノパンとジャケットに合せるべきアイテム
コーディネート引き立たせる上で重要なのは「トータルコーディネート」です。
合せるべき他のアイテムの合せが間違ってしまうと、仕事のデキる男とは程遠い印象になってしまうので気を付けましょう。
4-1 シャツでかっちりとビジネスっぽさを演出
基本、ビジネスカジュアルではほとんどの方が着るアイテムがシャツです。
ジャケットの中に着ているからと安心してはいけません。チノパンを穿いてカジュアル感を演出していても、ビジネスマンである以上、アイロンでノリの効いたシャツをスマートに着こなしましょう。
シャツの選び方について詳しくまとめていますので、こちらの記事も参考にしてみてください。
基本3つを押さえるだけでマスター!自分に合ったワイシャツの選び方
4-2 セーターでコーディネートにアクセントを
外回りの肌寒い季節は防寒用として、実はコーディネートにアクセントを加える上で使い勝手の良いのがセーターです。
ジャケットスタイルでは、必ず、見た目を優先する上で薄手のタイプを選んでください。
たしかに厚手のタイプの方が暖かいですが、ジャケットを着るとブクブクと着ぶくれしてしまいます。
詳しい選び方はこちらをご覧ください。
メンズVネックセーターの選び方をマスターして、目指せ!オタク卒業
4-3 靴はこげ茶や黒の革靴で足元を引き締めよう
仕事がデキる男は足元にも気を使うもの。
革素材の濃い色(コゲチャやクロなど)のビジネスシューズを履いていれば間違いありませんが、薄汚れた革靴を見た取引先の相手はどう思うでしょうか…身に覚えのある方は、今すぐ靴のケアをしましょう。
ビジネスカジュアルでの靴選びについては以下が参考になると思います。
ビジネスカジュアルでは革靴が間違いない!デキる男が選ぶ5デザイン
4-4 こげ茶や黒のピン留め式のレザーベルトが万能ベルト
お使いのベルトの革はクタクタになっていませんか?
ジャケットスタイルでは、シャツはチノパンの中に入れるので、体の中心に位置するベルトには必ず目がいきます。
迷った時には、濃い色(コゲチャやクロ)のピン留め式のレザーベルトを選びましょう。
今お使いのベルトが綿素材の場合は、ビジネスシーンであるならばカジュアル感が強いので避けることをお勧めします。
レザーベルトの詳しい選び方はこちらをご参照下さい。
ビジネスシーンに最適!ベルトの選び方5つのコツとコーディネート例
4-5 バッグはレザーの手提げタイプがビジネスシーンに最適
手提げタイプが一番マッチします。
最近ではリュックを背負うスタイルも街中で見かけますし、両手が使えるので確かに楽ですが、ジャケットの肩が潰れてしまうので見た目の印象は良くありません。
困ったら濃い色(ネイビー・クロあたり)の革素材を選ぶと良いでしょう。
4-6 コートはオンオフ兼用できて大人っぽさを演出できるステンカラー
ステンカラーコートを羽織りましょう。
濃い色(ネイビーやチャコールグレー、クロなど)は合せがしやすく、落ち着いた印象を与えてくれます。
冬場の寒さに耐えうるウール素材を選びましょう。
また、コートを脱ぐタイミングや脱いだ後の取り扱い方を見ている取引先の方もいますので所作にも注意を払いましょう。
ステンカラーコートの詳しい選び方は以下をご覧ください。
モコモコダウンはNG!この冬着るべきステンカラーコート着こなし術
5.カジュアルシーンでのチノパンとジャケットの着こなし方
これまでビジネスシーンを中心にチノパンとジャケットの着こなし方をお伝えしてきました。
この章では、それぞれのアイテムの合わせ方のポイントを押えるだけで、カジュアルシーンでも活用することが出来ることをお伝えします。
実は、手持ちのジャケットとチノパンが、カジュアルシーンで使えるとしたら…想像するだけで得した気分になりますよね。
カジュアルシーンでコーディネートを考える場合、ジャケットのインナーは「襟が有る服」か、「襟が無い服」かに分けると選びやすいです。
5-1 ジャケットのインナー:襟有りコーディネート
襟のある服は大人っぽい印象になるわけですが、代表的な服として「シャツ」があります。
ジャケパンにシャツを合せるとかっちりとした印象になるので、例えば女性との大事な場面(記念日やプロポーズなど)で選ぶにはぴったりです。
ビジネスカジュアルよりも服装規定は緩くなる分、それぞれのアイテムで色柄を加えてオシャレを楽しむことができます。また、色柄を加えることでより柔らかい印象になります。
上下共に明るい色の組合せですが、縦縞のシャツを合せることで引締め効果がうまれて、柔らかすぎないジャケットコーディネートになります。
格子柄のネイビージャケットには、柔らかい印象になり女性も好きな淡いピンクのシャツがベストマッチです。
5-2 ジャケットのインナー:襟無しコーディネート
対して、襟の無いコーディネートの場合は首回りにシャツ襟が無くなりカッチリ感が無くなることで、よりカジュアルな着こなしになります。
中のインナーを暗い色にして首回りがV字になっているVネックを選ぶと、シャープな印象になり大人っぽい印象になりますので、都心部のオシャレなレストランデートにお勧めです。
中のインナーを明るい色にして、丸首タイプのクルーネックにすると、柔らかい印象になるのでカジュアルデートシーンなどではお勧めです。
この様に、ジャケットとチノパンを使った大人っぽい私服コーディネートのことを、「スマートカジュアル」と呼びますが、より詳しい内容が知りたい方はこちらをご覧下さい。
6.チノパンとジャケットの着こなしの注意点
これまでチノパン・ジャケットを使ったジャケパンスタイルがどんなものか、細かく記述をしてきましたので、理解が深まってきたことと思います。
しっかりポイントを押えて選んだものを着ればとても大人っぽく上品な印象となりますが、かえってポイントを踏み外したら途端にイメージが悪くなるとも言えます。
この章では、より上級者を目指す皆さんのために、それぞれのアイテムで注意すべきポイントをお伝えしていきます。
6-1 ジャケットの着丈
ジャケットの着丈が長いと、野暮ったい印象となり、着丈が短いと、若々しすぎる印象になってしまいます。
そもそもジャケットでいう着丈とは、後ろ襟の下の縫い目から、ジャケットの裾の先までの直線を測った数字のことで、実はどの場面に着て行っても問題のないテーラードジャケットの最適な着丈バランスはあります。
ベストな着丈バランスは、
「前から見た時に、ベルトの下から股の下にかけてのライン上で、真ん中からやや長い位置」で、
「後ろから見た時に、おしりが完全に隠れない位置」です。
より詳細を知りたい方はこちら
6-2 ジャケットのインナー
ジャケットの裾から、インナーのシャツの裾が見えてしまうコーディネートは周りからだらしなく見られます。シャツやセーターなどの着丈が長いことで、コーディネートのバランスが悪くなり、だらしない印象になってしまうからです。
6-3 ビジネスカジュアルとは
そもそも、ビジネスカジュアルの定義は何なのか、皆さんはご存知でしょうか?
実は、ビジネスカジュアルにはこれという「明確な定義が存在しない」のです。
定義が曖昧ということは、どこまでカジュアル感を取り入れるかが重要なポイントになります。
より詳細を知りたい方はこちら
7.チノパンとジャケットを購入するならココ!3選
最後に、チノパンとジャケットを購入できるお店をご紹介します。
いずれのショップもトータルコーディネート出来るお店をセレクトしてみました。
7-1 ユニクロ
言わずと知れた日本を代表する大手カジュアル量販店です。
全国にショップ展開しており、ベーシックで値段に対する品質の良さも売りの一つですが、有名デザイナーとのコラボ商品を展開していたりと、ファッション性を意識したアイテム展開も増えてきています。
手始めにチノパンとジャケットの購入を検討されている方は、先ずはユニクロから始めましょう。
チノパンで2,900円~3,900円、ジャケットで5,900円~12,900円と良心的なプライスです。
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7-2 ユナイテッドアローズ
主要都市を中心に展開しているセレクトショップです。国内外で人気のブランドを仕入れて販売しているので、ファッションに興味がある方にも満足いただけるチノパンやジャケットが手に入れられると思います。自社でもプライベートブランド展開をしているので、良質でベーシックなアイテムを手に入れることが出来るのもメリットの一つです。
チノパンで10,00円~25,000円、ジャケットで35,000円~75,000円と幅広い価格帯で展開しています。
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7-3 伊勢丹メンズ館
新宿にある地下1階から8階まで全て男性向けフロアのデパートです。品揃えの豊富さは日本最大級です。
チノパンやジャケットの品揃えも豊富で、数多くのブランドの取扱いがあるので、探すのはやや大変ですが、ファッション好きや上級者を目指す方にはお勧めだと言えます。その中でも、6階、7階が大人のカジュアルウェアをより多く展開しているフロアになるので、こちらを確認することをお勧めします。
ホームページはこちら
8.まとめ
ビジネスシーンにおいて、チノパン・ジャケットスタイルを、TPOを意識してコーディネートする事で、取引先の相手の方に対する配慮にもなりますし、周りのスタッフからも好印象を得ることでしょう。
その結果、カッコよく着こなすことが出来れば周りからの反応は変わりますし、着こなすことによって皆さんにも自信がつきます。
ビジネスシーンだけでなく、大人のデートシーンにおいてもジャケパンスタイルをバッチリと決めることで、今まで以上に私生活も充実した生活を送れることは間違いありません。
この記事が、より楽しく、素敵な生活が送れる一つのきっかけとなれたら幸いです。